真言宗 豊山派 醫王山 遍照院 寛益寺 新潟県長岡市逆谷
文化財仏像修理報告書 新潟県指定文化財 |
安底羅大将(本体) 藤原時代 桂材 一木作り 約95p |
長期にわたり保存するため修理であります。 ○必要以上の復元はせず、劣化状態と修理箇所が解るよう、また損傷のない木地表面汚すことなく仕上げる現状維持修理。 概要と像の状態(修理前) ○昭和27年地滑りの土砂災害のための破損修理があり、それが今回の地震よる大きな破損を免れたようである。 ○昭和の修理は大修理であり復元箇所も多かった。 ○表面は漆補強がなされ硬い。化仏断裂と虫食い、臍の断裂による台座と框の離脱で大きな損傷はない。 漆による補強はかなり保存効果あり。 ○欠損箇所は漆と漆木屎を接着剤として木材による復元がなされている。補修材の種類は不明、同一でない数種の木が用いられている。 ○修理箇所の化粧仕上げはパテのような材質の上に古色されている。 ○昭和27年の修理時、虫穴の修理はなされていなかった。 ○足首が断裂した様で接続復元修理されているが害虫のため空洞部分が大きい。 ○台座は昭和27年新調されたものである。 ○倒れた原因は地震によるものであるが、台座と框、本体の重量バランスが悪い。框を大きくする必要がある。 修理材料 ○檜材・白樺材・生漆・杜の粉・チタン粉末・顔料・松煙・エタノール・アクリル樹脂・アセトン 修理方法 ○接着は全て漆。 ○殺虫処置は燻蒸と薬剤にて行った。 ○エタノールによる殺菌の後アクリル樹脂注入(パラロイド溶液役10%を2回から4回)あふれた樹脂は残さずふき取る。 ○虫穴は埋め木、欠損部分は極力埋め木とするが場所や形によっては漆木屎を使用。 ○埋木j準備と表面補強のため樹脂が乾くと虫穴二に生漆または錆漆を溢れないように充填、あふれたならば完全にふき取る。(テレピン油で薄めての使用もあった) ○漆の乾燥後欠損部分や割れ部分の埋め木をした、虫穴も穴のサイズに合わせ木栓を詰め込むがたたき込むことが多い。 ○虫穴木栓の隙間には漆木屎を埋め表面を整え仕上げの古色彩色をした。 今回は色漆を使用した。 補足修理箇所 台座と框の結合臍 材の調査 奈良県森林技術センター(本体主要部分の調査) |
お寺様への仏像拝観時にはお心ずかいよろしくお願いいたします。 伊谷 |
修理完了 |
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足下駄より足首の上10cmは空洞状態。 | |
アクリル樹脂注入の際、昭和27年の修理時のパテが変色した | 倒れた際割れた申の頭。 |
樹脂注入によって昭和27年の修理時のパテが変色した。 | |
昭和27年の修理の跡、黒い帯状の所は漆木屎、白い木は檜材,上の茶色の木はケヤキ(?)復元された様である。 | TOPにもどる |